芦屋の文化と歴史を文学の視点で綴る・谷崎潤一郎記念館へようこそ
 
谷崎没後60年 2025年春の特別展「潤一郎、終活する~文豪谷崎 死への挑戦~」 会期 2025年3月15日(土)~6月8日(日)


 1965(昭和40)年夏、谷崎潤一郎は世を去ります。79歳の誕生日を迎えたばかりでした。当時としては珍しいほどの長命だった文豪。晩年と呼ばれる、終わりの時を迎えつつある時期も長いものでしたが、その間にも多くの名作・傑作・話題作を執筆し続けています。

 日本が敗戦を迎えた1945年8月、60歳を目の前にした谷崎は、「細雪」下巻の執筆にいそしんでいました。戦時下では「発禁扱い」だった、この生涯の名作の刊行完結が、1948年12月。その時、谷崎は、当時の平均寿命をすでに超えていました。「細雪」は、文豪の戦後への、そしてその豊かな晩年への一里塚だったのです。

 「細雪」以降、文豪じしんの現在とも重ね合わせられながら、「老い」や「病(やまい)」、そして「死」の問題が、創作の中心に据えられていきます。その核心に、「性」をはじめ「母恋い」や「女性崇拝」など、多彩なテーマが絡まり合いながら複雑に織り成されていく作品世界は、芳醇でユニークなものでした。死の間際まで続けられた、そのエネルギッシュな執筆活動。それは、作家として人としての人生の集大成であり、死への挑戦の営みでもあったのでしょう。

 没後60年の春、文豪谷崎潤一郎の豊穣の晩年、その「死へ挑んだ総括」―「終活」の有り様を跡づけます。

 



■特別展開催時の記念館入場料は一般600円、65歳以上300円、高校・大学生400円、中学生以下無料となります。

 
2025年 夏の特設展「オン・ステージ~舞台の上の谷崎作品~」 会期 2025年6月14日(土)~9月7日(日)


 谷崎文学は、「話の筋」のおもしろさ、「物語性」の豊かさを真骨頂とするともいわれています。それもあってでしょうか、舞台化される作品も多く、そのジャンルがまた、多岐にわたっているのです。

 劇的な作品の中でもひときわドラマティックで、結末も衝撃的な「春琴抄」は、現代劇・レビュー・文楽・オペラ・パフォーマンス等、とりわけ多様に翻案されてきました。幼少から馴染み深い歌舞伎のエッセンスは、さまざまな作品へと反映し、それがまた、はね返っていくかのように歌舞伎化されてもいます。「細雪」「台所太平記」の通俗性は、「大衆文学」に共感を示していた谷崎の一面でもあり、その親しみやすさは、商業演劇の娯楽の世界と近しいものでしょう。

 文豪谷崎潤一郎の作品世界の幅の広さ懐の深さが、多彩なジャンルの舞台と響き合い、血肉を得ていくさまを紹介します。

 



■特設展開催時の記念館入場料は一般500円、65歳以上250円、高校・大学生300円、中学生以下無料となります。

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© Tanizaki Junichiro Memorial Museum of Literature,Ashiya.