谷崎文学は、「話の筋」のおもしろさ、「物語性」の豊かさを真骨頂とするともいわれています。それもあってでしょうか、舞台化される作品も多く、そのジャンルがまた、多岐にわたっているのです。
劇的な作品の中でもひときわドラマティックで、結末も衝撃的な「春琴抄」は、現代劇・レビュー・文楽・オペラ・パフォーマンス等、とりわけ多様に翻案されてきました。幼少から馴染み深い歌舞伎のエッセンスは、さまざまな作品へと反映し、それがまた、はね返っていくかのように歌舞伎化されてもいます。「細雪」「台所太平記」の通俗性は、「大衆文学」に共感を示していた谷崎の一面でもあり、その親しみやすさは、商業演劇の娯楽の世界と近しいものでしょう。
文豪谷崎潤一郎の作品世界の幅の広さ懐の深さが、多彩なジャンルの舞台と響き合い、血肉を得ていくさまを紹介します。
■特設展開催時の記念館入場料は一般500円、65歳以上250円、高校・大学生300円、中学生以下無料となります。
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