昨今のAI、その技術革新には目を見張るものがあり、さまざまな方面に広がりを見せています。「モノクロ写真への彩色」も、その一つでしょう。コンピューターが、白と黒との濃淡・風合いの微妙な差から、本来の色合いを割り出し彩色します。その「AIによる彩色」に、経験豊かな「写真のプロ」の職人技が、調整をほどこしていきます。すると、モノクロームの永い眠りについていた彩りの数々が、たしかなリアリティーをもって、鮮やかによみがえってくるのです。
AIと人間の技術とによる「色彩の魔法」。その魔法を、館所蔵のモノクロ写真にかけてみると、どうなるか。
人生の節目ごとにみせる文豪の表情が色づくと、はたして印象はどう変わるのでしょうか。谷崎をとりまく女性たちの肌合いや眼差し、そして身につけていたそのキモノの色々にも興味は尽きません。「細雪」の時代の六甲山は、傑作の舞台となった芦屋の街並みを抱きながら、作中の叙述そのままに明るく輝いています。その主人公たちのいで立ちはまた、予想どおりのきらびやかさ……。
モノクロームの封印を解き放たれた色彩が、文豪谷崎とその作品世界を新たに染め上げていきます。
■特別展開催時の記念館入場料は一般600円、65歳以上300円、高校・大学生400円、中学生以下無料となります。
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